女剣士を目指して
私が剣道を始めたのは、今から7年前。新選組に関する歴史小説を読んだのがきっかけでした。その小説の中に出てくる武士の凛とした姿は、現代の日本人に失われつつある美しさを持ったものでした。その小説を読み終えた時は、すっかり武士の生き様に惚れ、「私もああいったカッコいい人間(武士)になりたい!」という想いが、私の中に沸きおこったのでした。そして、武士に近づくには?と考えたところ、やはりまず武士の魂である剣を習わなければ!すなわち、今で言うところの”剣”道、ということで気がついたら、之久会の門を叩いていました。
当初は、大人になってから、しかも女性で剣道を始める人などほとんどいなかったので、 会の中でも少し浮いた存在でした。しかし、ただ剣(道)がうまくなりたいという一心でパパさん剣士や子供達に混ざって、すり足、素振りから嬉々として稽古を始めました。
しかし、何においてもそうですが、剣道もしばらく続けていくとなかなか思うように上達しない、という嬉しくない現実にぶち当たります。昇段審査で何度も落ちたり、稽古してもちっとも上達しないな~と落ち込んだりすることも増えてきました。ただ、長く続けていくうちに、どうしてダメなのか反省したり、自分で工夫したりすることをコツコツ繰り返し、それで上達するのが”剣の道”なんだということが分かりました。
7年間の間にも、あんな熱い想いで始めた剣道も、「やめたい」と挫折したことも、数知れず。しかし、そこでやめずに続けられてこられたのは多分に岩波先生のおかげだと思います。
(私はこの道場しか知らないのですが、)他の道場と何が違うと問われれば、恐らく、それはやはり、岩波先生の誰にも負けないほどの剣道に対する熱い想いと正しい剣道を後々のためにつなげて欲しいという強い気持ちだと思います。
之久会で剣道を習っていくうちに、剣道とは、剣を使う技を習うだけではないということが分かってきました。岩波先生はその武士の精神をとても理解していらっしゃり、稽古の中でも、剣の技だけでなく、どうしてそうなるのか、どういった理由から剣(刀)をこう使うのか、といった刀の理合いや武士の精神・時代背景からわかりやすく説明して下さるのです。確かに、体を動かす稽古も大切ですが、それと併せて、武士の精神を習うことも、その2つは別々に考えることができないほど大切なことだ、と思うようになりました。
さらに、岩波先生がおっしゃるには、そういった教えを自分の生活の中に即、活かせなければ、本当の意味で剣道を習うということにはならない、ということです。このことは、常日頃から私も心がけたいと思っていることです。
こうやって、私が憧れていた武士により近づけるようにそんな先生の話が聞きたいがために挫折の中もやめずにこられたのかもしれません。
そして、これまで7年間習ってきたことは、少しずつでも、人間としてのレベルアップに役立っているのではないかと思っていますし、他の習い事では得がたいことではないかと思います。
正直、今でも自分の不甲斐なさに「いつやめようか。」と思ってしまうことも多々あります。しかし、そう言いながら、立派な武士になれる日を目指して腰が曲がっても、この之久会の道場に通うことになりそうな気がしています・・・。(笑)
土方良子(仮名)・二段 (2010年11月現在)